並行トレーニングは筋力と爆発力の発達に悪影響を与えない—訓練された若い男性での11週間研究
筋トレと有酸素運動を同時に行う「並行トレーニング」が、下半身の筋力と筋肥大にどう影響するかを調べた研究が発表されました。結果として、並行トレーニングは最大筋力の発達を若干制限するものの、爆発的な筋力や筋肥大の発達には大きな悪影響がなく、訓練されたトレーニング愛好者であれば効果的に実施できることが明らかになりました。
研究の概要
この研究は、「並行トレーニング」(筋トレと有酸素運動を同時に行うこと)が、訓練された若い男性の下半身筋力と筋肥大にどのような影響を与えるかを検証しました。筋トレと有酸素運動を組み合わせると、どちらか一方だけを行うよりも効果が減少する「干渉効果」が起こることが知られていますが、この研究ではその程度を詳しく調べています。
研究の方法
30人の訓練された若い男性を3つのグループに分けました。第1グループは有酸素運動のみ(E)、第2グループは筋トレのみ(R)、第3グループは筋トレと有酸素運動の並行トレーニング(CT)です。11週間にわたり2つの段階に分けて実施されました。前半5週間は最大筋力の向上に重点を置き、後半6〜11週間は爆発的な筋力の向上に焦点を当てました。
測定項目は、レッグプレスの最大筋力(MVIC)、筋力発揮の速度(RFD)、ジャンプ能力、太もも外側(大腿直筋)の筋肉の断面積と筋繊維の角度などです。評価は訓練開始前、中盤、終了時の3時点で実施されました。
研究の結果
最大筋力(MVIC)は筋トレのみのグループ(R)でのみ18.4パーセント増加し、並行トレーニンググループ(CT)では有意な改善が見られませんでした。これは並行トレーニングが最大筋力の発達を制限することを示しています。
一方、爆発的な筋力(ピークRFD)は、筋トレのみのグループで31.8パーセント、並行トレーニンググループで23.1パーセント改善し、いずれのグループでも改善が認められました。ただし改善の時期に違いがあり、筋トレのみのグループは訓練全期間を通じて段階的に改善したのに対し、並行トレーニンググループは後半6〜11週間の爆発的筋力重視の段階でのみ改善しました。
初期段階の筋力発揮速度(0〜50ミリ秒)は、筋トレのみのグループは中盤以降に改善したのに対し、並行トレーニンググループは中盤から終了時にかけて38.3パーセント改善しました。並行トレーニンググループでは太ももの筋肉活動がより高まっていました。
ジャンプ能力(カウンタームーブメントジャンプのインパルス)は、筋トレのみのグループで12.7パーセント、並行トレーニンググループで8.8パーセント改善し、どちらのグループでも有意な改善が見られました。爆発的なパフォーマンスに関しては並行トレーニングの悪影響は認められませんでした。
筋肉の断面積は、筋トレのみのグループで17.0パーセント、並行トレーニンググループで8.8パーセント増加しました。筋繊維の角度は、筋トレのみのグループで18.6パーセント、並行トレーニンググループで10.1パーセント増加しました。
実践への示唆
この研究は、訓練されたトレーニング愛好者にとって重要な知見をもたらします。並行トレーニングは確かに最大筋力の発達を若干制限し、初期の爆発的筋力の発達を遅延させる傾向がありました。しかし、重要な点は、爆発的な筋力やジャンプ能力、筋肥大といった他の適応については、予想されるほどの大きな悪影響がなかったということです。
その理由は、訓練プログラムの構成にあります。この研究では筋トレを計画的に設計し、前半は最大筋力を、後半は爆発的な筋力を重視するように段階化されていました。このような神経駆動型の適応や筋肥大を重視する周期化アプローチにより、並行トレーニングの干渉効果が大幅に軽減されたと考えられます。
つまり、すでに訓練経験が豊富な方であれば、筋トレと有酸素運動を同時に行っても大きな問題はありませんが、訓練プログラムの設計が重要です。最大筋力の向上を最優先目標にしている場合は、並行トレーニングは避けるか最小限にすべきです。一方、爆発的な筋力や筋肥大、ジャンプ能力などの向上を目指す場合は、並行トレーニングは効果的に実施できます。訓練の目的に応じて、週単位や月単位で筋トレの内容を変化させ、その時々の優先目標に合わせることが成功の鍵となります。





























