筋肥大研究における女性参加者の過小代表:系統的レビューが示す性別バイアスの実態
筋トレによる筋肥大を調査した570件の研究を分析した結果、女性の参加者は全体の11%にとどまり、男性が72.2%を占めていることが明らかになりました。女性と男性は筋肥大への反応がほぼ同等であるにもかかわらず、研究デザインに大きな性別バイアスが存在することが判明しました。
研究の概要
この研究は、筋トレによる筋肥大を調査した研究論文において、女性参加者がどの程度含まれているかを系統的にレビューしたものです。若年成人を対象にした570件の査読済み論文を分析し、参加者の性別や研究方法、著者の性別などのデータを収集しました。
研究方法と主な結果
調査対象となった570件の研究のうち、男性のみを対象とした研究は72.2%、女性のみは11.0%、男女両方を含めたのは16.8%にとどまりました。このデータから、筋肥大研究が圧倒的に男性を中心に行われていることが明確です。
さらに注目すべき点として、女性参加者を含む研究の中でも、月経周期の段階を報告または考慮した研究はわずか8.5%であり、87.3%の研究では月経周期に言及していませんでした。これは、女性の身体的特性が研究デザインに十分反映されていないことを示しています。
分子レベルの分析(遺伝子発現やタンパク質合成などの検査)の実施頻度にも大きな差がありました。男性のみを対象とした研究では23.6%が分子分析を行っていたのに対し、女性参加者を含む研究では6.5%に過ぎず、ほぼ4倍の開きがありました。一方、筋肉生検の使用頻度や著者の性別については、参加者の性別との有意な関連性は見られませんでした。
時間経過に伴う変化
興味深いことに、21世紀には20世紀比べて筋トレ研究の発表数が10倍に増加しました。しかし、この急増にもかかわらず、性別のバイアスは依然として存在しています。ただし、2020年から2023年6月までに発表された論文では、2001年から2019年の時期と比べて若干の改善が見られました。男性のみの研究が減少し、女性のみまたは男女混合の研究が増える傾向が観察されています。
トレーニング愛好者への実践的な示唆
この研究が示す最も重要なポイントは、女性と男性の筋肥大への反応はほぼ同等であるということです。広く認知されている科学的証拠によれば、両性は相対的に似た筋肥大反応と分子的反応を示します。にもかかわらず、研究の大多数が男性を中心に行われているため、女性を対象とした筋トレのプログラミングやメカニズムについての科学的知見が不足しているという問題があります。
女性トレーニー、特に月経周期を持つ女性にとって、月経周期の段階が筋トレのパフォーマンスや筋肥大に影響を与える可能性は研究されるべき重要なテーマです。しかし、現在のところこの側面を考慮した研究はほとんど存在しません。月経周期が筋肥大トレーニングの効果にどう影響するかについては、より多くの研究データが必要とされています。
トレーニング愛好者としては、利用可能な研究が男性中心に行われていることを認識した上で、女性も男性と同等の筋肥大の潜在能力を持つことを理解することが重要です。今後、より多くの女性を対象とした研究が実施され、より包括的で透明性の高い科学的証拠が蓄積されることが期待されています。





























