クラスターセット vs レスト再配分セット:筋トレ中の動作速度維持にはどちらが優れているのか?
筋トレ中に動作速度の低下を防ぐため、通常のセット方法に代わる「クラスターセット」と「レスト再配分セット」という2つの方法が注目されています。37の研究を統合分析した結果、両者とも通常のセット方法より動作速度を保つのに有効ですが、実際の効果の差はほぼ無視できるレベルであることが判明しました。
研究概要
筋力トレーニングにおいて、セット数を重ねるにつれ動作速度は低下していきます。この速度低下を防ぐため、従来の「通常のセット(Traditional Sets: TS)」に代わる新しいセット構成法が提案されてきました。その中でも特に注目されているのが「クラスターセット(CS)」と「レスト再配分セット(RR)」です。本研究では、これら3つの方法が動作速度の維持にどの程度効果的なのかを、既存の研究を網羅的に分析しました。
研究方法
研究チームはPubMedとWeb of Scienceのデータベースを検索し、クラスターセット、レスト再配分セット、通常のセットの効果を直接比較した37の研究を選定しました。
レスト再配分セットは、休息をどこに挿入するかによって2つに分類されました。「セット内レスト再配分(intraRR)」は1セット内に休息を挿入する方法で、「セット間レスト再配分(interRR)」は複数セット間に休息を挿入する方法です。これら3つの方法について、平均速度とピーク速度(最大速度)の2つの指標を用いて比較分析しました。
研究結果
分析の結果、3つの重要な発見がもたらされました。
- 通常のセットとの比較:クラスターセット、セット内レスト再配分、セット間レスト再配分のいずれも、通常のセットと比べて平均速度をより良く維持していました。その効果の大きさは、クラスターセットが最も大きく(0.60)、次にセット内レスト再配分(0.41)、セット間レスト再配分(0.42)でした。ピーク速度の維持についても、クラスターセットとセット内レスト再配分が通常のセットより優れていました。
- 3つの方法の直接比較:クラスターセット、セット内レスト再配分、セット間レスト再配分の3つを直接比較したところ、平均速度とピーク速度の両方について、統計学的に意味のある差は見られませんでした。ただし、確率的なランキングでは、クラスターセットが最も効果的である可能性が最も高く(99.7%)、次にセット内レスト再配分(46.9%)となりました。
- 条件による効果の変化:運動種目や相対的なトレーニング強度(1RMに対する重量の割合)によって、これらの方法の有効性は変わらないことが明らかになりました。つまり、どの種目でも、どの強度でも同様に効果を期待できるということです。
実践への示唆
この研究結果から、トレーニング愛好者にとって重要な3つの実践的な示唆が得られます。
第一に、代替セット構成法の有効性が確認されました。クラスターセット、レスト再配分セットのいずれも、通常のセット方法よりも動作速度を維持するのに役立ちます。これはトレーニングの質を保ち、筋力や筋肥大の発達を促進するうえで重要です。
第二に、3つの方法の実際的な差はほぼ無視できるということです。統計的に見ると、クラスターセットがわずかに優位性を示していますが、実務的には3つの方法のいずれを選択しても、動作速度維持の効果にはほとんど違いがありません。
第三に、最適な方法を選ぶ際は、実践的な観点から判断すべきということです。各トレーニング愛好者の状況、目標、装備、時間的制約などを考慮して、最も実行可能で継続しやすい方法を選ぶことが重要です。例えば、ジムの設備が限られていればセット内に休息を挿入する方法が、時間に余裕があればセット間に休息を挿入する方法が、それぞれ適しているかもしれません。
結論として、筋トレ中の動作速度低下を防ぎたいトレーニング愛好者は、通常のセット方法に代わって代替セット構成法の導入を検討する価値があります。その際、科学的な優位性よりも、自身のトレーニング環境と継続可能性を優先して方法を選択することが、長期的なトレーニング成功の鍵となるでしょう。





























