高強度インターバルトレーニングと筋トレの同時実施は筋力・パワーに悪影響を与えるのか?
高強度インターバルトレーニング(HIIT)と筋力トレーニングを同時に行う「コンカレントトレーニング」について、21件の研究を分析したメタ解析の結果が報告されました。筋力やパワーパフォーマンスに対する影響は、実施するHIITのタイプによって大きく異なることが明らかになりました。
研究の概要
この研究は、高強度インターバルトレーニング(HIIT)と筋力トレーニングを組み合わせて実施する「コンカレントトレーニング」が、筋力やパワー、有酸素能力にどのような影響を与えるのかを調べた系統的レビューおよびメタ解析です。
多くのトレーニング愛好者は、筋肉を大きくしながら同時に心肺機能も向上させたいと考えています。しかし、異なる種類のトレーニングを同時に行うと、互いに干渉し合う可能性があります。本研究は、この「トレーニング干渉」の実態を科学的に検証することを目的としていました。
研究の方法
研究者らはPubMed、SPORTDiscus、Web of Scienceなどの医学・スポーツ科学データベースから、筋力トレーニング単独とコンカレントトレーニングを比較した研究を検索しました。当初8,634件の論文が該当しましたが、厳格な基準で絞り込んだ結果、21件の研究(合計569名の被験者)を最終的に分析対象としました。
分析の対象となったのは、以下の主要なパフォーマンス指標です。
- スクワットの1RM(1回挙上最大重量):筋力を測定する標準的な方法
- カウンタームーブメントジャンプ(CMJ):下半身のパワーを測定
- 有酸素能力関連の指標
研究の結果
全体的な分析では、スクワットの1RMにおいて、筋力トレーニング単独群とコンカレントトレーニング群の間に統計的に有意な差は認められませんでした。カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスについても、全体では有意な差は観察されませんでした。
しかし、より詳細な分析を行うと、実施するHIITのタイプによって結果が大きく異なることが判明しました。これが本研究の最も重要な発見です。
スプリントインターバルトレーニングおよび反復スプリントトレーニング(数秒の全力運動と回復を繰り返すタイプ)を筋力トレーニングと組み合わせた場合、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスに有意な悪影響は見られませんでした。
一方、短時間の高強度インターバルトレーニングおよび長時間の高強度インターバルトレーニング(より長めの高強度運動を反復するタイプ)と筋力トレーニングを組み合わせた場合、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスに対して統計的に有意な悪影響が観察されました。つまり、こうしたHIITプロトコルの使用は、下半身のパワー発揮能力を低下させる傾向があったのです。
この違いは統計的に有意であり、実施するHIITのタイプが筋力・パワートレーニングの効果を左右する重要な要因であることが示されました。
トレーニング愛好者への実践的な示唆
結論としては、「コンカレントトレーニングは必ず筋力やパワーを損なう」とは言い切れないということです。むしろ、実施するHIITのタイプが極めて重要な要素となります。
より筋力・パワー維持に有利なアプローチ:筋力トレーニングと組み合わせる場合は、スプリントインターバルトレーニングや反復スプリントトレーニング(数秒の全力スプリントと短い回復を繰り返すもの)の使用を優先することが推奨されます。これらは筋力やパワー能力への悪影響が最小限に留まる傾向があります。
注意が必要なアプローチ:短時間から長時間の高強度インターバルトレーニング(例えば、30秒〜数分の高強度運動を複数セット実施するタイプ)と筋力トレーニングを同時に行う場合は、パワーパフォーマンスの低下に注意が必要です。このタイプのHIITは有酸素能力向上には効果的ですが、筋力やパワー維持という観点からはトレーニング干渉が生じやすい可能性があります。
研究の限界:本分析は比較的少数の研究に基づいており、異なる研究間での方法論的差異も大きいため、結果の解釈には慎重さが必要です。個人の適応能力や栄養状態、回復の質なども結果に大きく影響するため、これらの知見を自分のトレーニングに応用する際には、実際のパフォーマンス変化を観察しながら調整することが重要です。





























