女性サッカー選手の筋トレで認知機能が向上—12週間の研究結果から
高度に訓練された若い女性サッカー選手を対象とした研究で、週2回の筋力トレーニングを12週間実施することで、筋力やサッカーのパフォーマンスだけでなく、認知機能(注意力や判断力)も有意に向上することが明らかになりました。筋トレは単なる肉体強化ではなく、脳機能の向上にも貢献する可能性があります。
研究の概要
女性サッカーは世界的な人気を集めており、パフォーマンス向上には筋力やターンの速さといった身体能力だけでなく、注意力や判断力などの認知機能も重要な役割を果たします。本研究は、12週間の筋力トレーニングが若い女性サッカー選手の身体能力、サッカーパフォーマンス、認知機能にどのような影響を与えるかを検証しました。
研究方法
平均年齢14.9歳の高度に訓練された女性サッカー選手22名が、筋力トレーニンググループ(11名)と対照グループ(11名)にランダムに割り当てられました。
筋力トレーニンググループは、週2回の上半身・下半身トレーニング(1セット12回×3セット、最大挙上重量の60~80%の強度)と、従来のサッカー専門トレーニング(週3回)を実施しました。対照グループは、通常のサッカー専門トレーニング(週5回)のみを継続し、両グループのトレーニング総ボリュームは同程度に設定されました。
測定項目には、体組成、筋力(ベンチプレス・ラットプルダウン・レッグプレスの最大挙上重量)、サッカー専門パフォーマンステスト(ラフバラサッカーパッシングテスト)、認知機能テスト(ストループテスト)、および脳由来神経栄養因子(BDNF)とインスリン様成長因子1(IGF-1)の血中濃度が含まれました。
研究結果
筋力トレーニンググループでは、以下の有意な改善が認められました。
- 筋力の向上:ベンチプレス、ラットプルダウン、レッグプレスの最大挙上重量がすべて有意に増加(いずれもp値0.001未満)
- サッカーパフォーマンスの向上:ラフバラサッカーパッシングテストのスコア改善(p値=0.007)
- 認知機能の向上:ストループテストの成績が有意に改善(p値0.001未満)。対照グループではこのような改善は見られませんでした
一方、脳由来神経栄養因子やインスリン様成長因子1などの神経可塑性マーカーの血中濃度には、グループ間で有意な変化が認められませんでした。
実践への示唆
本研究の重要な知見は、筋力トレーニングが認知機能の向上に貢献する可能性を示唆している点です。サッカーをはじめとする競技スポーツでは、判断力や注意力、素早い反応が勝敗に大きく影響するため、認知機能の向上は極めて実用的な意味を持ちます。
研究結果から、シーズン中に週2回の筋力トレーニングプログラムを実施することで、身体的フィットネスとサッカー専門パフォーマンスの双方が向上することが実証されました。加えて、認知機能も同時に向上することで、より判断精度の高い、質の高いプレーが期待できます。
指導者は筋力トレーニングを単なる怪我予防や筋肉増強の手段ではなく、認知機能やゲーム判断力を高める総合的なパフォーマンス向上プログラムの一環として位置付けるべきです。特に若い選手の育成段階では、身体発達とともに脳機能の発達にも投資する価値があります。





























